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  • SKYWARD 2019年1月号

上地結衣 未だ進化の途中

文/中島亮 撮影/築田純
ヘアメイク/塩澤延之(mod's hair)
取材協力/スポル品川大井町

高校3年生で参加したロンドン・パラリンピックは、テニス選手として大きな分岐点になった。「大会が終わったらテニスをやめて、学業に専念しようと考えていました。海外を転戦するうちに、将来は国際的な仕事に就きたいと思うようになっていたんです」

しかし、自分のベストなパフォーマンスを出し切れたという達成感と、それでも世界の壁に弾き返され結果を出せなかったという悔しさがないまぜになった感情が、彼女を思いとどまらせた。「このままでは終われない」

強い意志を持った、本当の意味でのプロテニスプレーヤー上地結衣が誕生したのは、この瞬間だったのかもしれない。その後は世界1位にランキングされ、自信を持ってリオデジャネイロ・パラリンピックに挑んだ。しかし、結果は望んだものとはほど遠かった。

「シングルスで銅メダルは獲得しましたが達成感は皆無。むしろ、コート上で何も表現できなかった悔しさしか残らない大会でしたね」

長く上位にいれば研究される。相手も成長するのだから、現状維持は後退と同じ。リスクを恐れず、常に自分を進化させなければいけないと再認識させられた。

「外国人選手にパワーでは絶対に勝てません。技術の精度と状況判断のスピードが私の生命線。それを上げるために、今季は長く使用していた車いすも変更しました。もう悔しい思いはしたくない。東京パラリンピックでは、達成感と結果の両方を手に入れたいです」

彼女が満足する結果とは、もちろん金メダル以外にありえない。

上地結衣(かみじ ゆい)1994年、兵庫県生まれ。11歳の時に車いすテニスを始め、高校3年生でロンドン・パラリンピックに出場。シングルス、ダブルス共にベスト8に進出した。2014年5月には初めて世界ランキング1位に。同年にダブルスでは日本人女子選手初となる年間グランドスラムも達成した。リオデジャネイロ・パラリンピックでは、シングルスで銅メダルを獲得。現在、JAL サポート選手で、東京2020パラリンピック大会の出場が内定している。

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