2016年のリオデジャネイロ五輪、柔道男子日本代表は全階級でメダルを獲得するという快挙を成し遂げた。
その輝かしい舞台の裏で、涙をのんだ一人の選手がいた。
「代表に選ばれず、すごく悔しかったです。でもそれは、選考会で負けた自分がダメだったから。そこで勝利すれば次につながったのに、プレッシャーに負けてしまった。体に気持ちがついていかなかったんだと思います。一つの試合の大切さを痛感しました」
豪快な一本が持ち味。66㎏級のエースといわれながらリオを逃した時、彼の心にはある思いが生まれていた。
「この悔しさは次の東京五輪にぶつけるしかない、そう思いました。両親や高校の同級生、応援してくれる方々の言葉が支えになり、気持ちの切り替えは早くできましたね」

幼い頃から夢見てきた、五輪出場。そして「五輪の金メダルが一番欲しいもの」と、真っすぐな視線を向けて語る。
「今は、東京五輪に手が届くところまできて、夢から目標に変わりました。自分の理想は、どんな相手でも一本を決めることであり、試合でも圧倒的に勝利したい。そのために練習してきたことを信じて、自分が一番強いと思い、試合に臨んでいます。日本柔道の代表となれば、多くの人の思いを背負って試合場に立つことになる。そのプレッシャーに負けないくらい人としても成長して、『日本柔道の顔』といわれるほどの選手になりたいです。